最近よく聞くようになったフレイルという言葉。今回はフレイルについて書いていこうと思います。
フレイルとは
フレイルとは直訳すると「虚弱」という意味になります。2014年に日本老年医学会が、国民の健康予防意識を高めるため英語の「frailty」からとって「フレイル」を提唱しました。人は加齢が進むにつれて徐々に心身の機能が低下していき、要介護状態となります。フレイルとは簡単に言うと、加齢により心身が衰えた状態のことを言います。
フレイルの基準
フレイルかどうか判断する基準はいくつかありますが、friedらの基準を使うことが一般的なようです。項目は5項目あり、3項目以上当てはまるとフレイル、1または2項目のみだとフレイルの前段階のプレフレイルとなります。
- 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少
- 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる
- 歩行速度の低下
- 握力の低下
- 身体活動量の低下
この判断基準から見ても、フレイルは主に身体的な虚弱を表すことのように思われますが、実際は様々な状態が入り混じって起こるようです。
フレイルの種類
フレイルと一口に言ってもその状態は様々です。大きく三つの分類に分けられます。
- 「身体」の虚弱 フィジカル・フレイル
- 「こころ・心理」の虚弱 メンタル・フレイル
- 「社会性」の虚弱 ソーシャル・フレイル
やはり一番イメージしやすいのは1のフィジカル・フレイルだと思います。高齢者になると食事量の低下とともに、代謝の変化やホルモンの変化などにより筋肉量や筋力が低下します。それにより体を動かすことが億劫になり、動かさないから食事量も増えず筋力がつきにくくなるとういう悪循環が起こります。
3つのフレイルのどれか一つでも起きてしまっては良くないですが、一番最初に発生しやすいフレイルは3のソーシャルフレイルだそうです。定年や子育てを終えた後、社会との繋がりが希薄になってしまうとそこからフレイルが始まります。
まとめ
私たち鍼灸師や柔道整復師が携われるのはフィジカル・フレイルがメインになると思います。治療院に来られる患者様は既にどこかが痛かったり体調が悪くなってしまってから来院される方が多いです。東洋医学の考え方で病気になる前の状態のことを「未病」といいますが、この病気になる前の状態(体の違和感を感じているが検査などでは表れていない)にアプローチしていければ健康なまま年齢を重ねることができるのではないでしょうか。
参考:1)公益社団法人長寿科学振興財団ホームページ,(2024,3/30取得,フレイルとは | 健康長寿ネット (tyojyu.or.jp)
2)新田國夫、飯島勝矢、戸原玄、矢澤正人「老いることの意味を問い直す フレイルに立ち向かう」クリエイツかもがわ出版,2016,7,31